マイクロソフトのエクセルは、関数により複雑なデータ処理が行えるだけでなく、縦に100万行のデータを扱えるなど、大量のデータを処理することも可能です。しかしながら、実際に大量のデータの処理をさせると、一見大したことのない操作でもワンステップ行うたびに何分もかかるなど、使用するコツを知っておかないととてつもなく効率が低下してしまいます。ここでは、巨大データをExcelで扱うときのポイントを説明します。
まず、巨大データを扱うための次のような準備を行う必要があります。
- xlsbファイルで保存する。
- 自動計算機能をオフにする。
拡張子がxlsbのファイルはExcelバイナリブック形式のファイルで、操作には関係ないので詳細は省きますが、通常のxlsxファイルと異なりデータをバイナリと呼ばれる形式で保存します。これにより、読み込みスピードが何倍も向上し、巨大なデータの読み込みに威力を発揮します。普通サイズのデータであれば、デフォルトのxlsx形式が色々な点で手堅くて良いのでしょうが、巨大データでは読み込みスピードが何分もかかるこのも珍しくないので、読み込みスピードの向上は重要です。あまり、意味は無いですがファイルサイズがいくらか小さくなるという効果もあります。
Excelでは数式や関数を入力すれば、特に操作をしなくても勝手に計算が完了して便利なのですが、巨大データではむしろ危険です。あちこちのセルに計算内容を入力していくような場合、入力のたびに巨大データを使用した計算が実行され、入力のたびに場合によっては数分単位の時間を取られてしまいます。これを防ぐために、自動再計算機能をオフにします。操作は、「数式」タブの一番右端の「計算方法」エリアにある「計算方法の設定」から「手動(M)」をクリックします。
巨大データの操作では以下のようなポイントがあります。
- 計算内容の入力が終わったら計算を実行する。
- シートの削除を活用する。
準備で自動計算をオフにしているので、必要な計算内容の入力が終わったら計算を手動で実行する必要があります。「数式」タブの一番右端の「計算方法」エリアにある「シート再計算」や「再計算実行」を必要に応じて実行します。そのときに必要な計算が現在のシートのみであるなら「シート再計算」、ファイル全体であるなら「再計算実行」をクリックします。
膨大なセルを削除する場合にはかなりの時間がかかるので注意が必要です。誤りなどで非常に広い範囲のセルを削除する場合、そのシートを削除して改めてそのシートを作り直すのが容易なら、セルの削除ではなくシートの削除を選んだほうが時間がかからない場合があります。いつも使えるテクニックではないのですが、膨大なセルの削除を行うときには、是非検討するべき操作です。